ロイヤルカード
むかしむかし。『とある国』の王さまは、
ふしぎな病気で苦しんでいました。
4つ子の皇子たちは、
いっしょうけんめい看病しました。
その優しさに感動した王さまは魔女と契約をして、
自分の持っているすべてを4つの宝具に変えて、
皇子たちの誕生日に一つずつ『祝い』を
分け与えました。
権力、愛、幸福、富。
優しい彼らならきっと協力しあって、
国を受け継いでくれると信じていたのです。
ところが、王さまがこの世を去ったとたん、
皇子たちは宝具を奪い合う争いを始めました。
またたく間に国はバラバラになり、人々は苦しみました。
そんなある日、魔女が現れて言いました。
「忘れものだよ。王さまのすべてが欲しいというのなら、
彼と同じ苦しみもくれてやろう……」
―魔女が与えたのは『呪い』でした。
『呪い』を受けた皇子たちはたちまち不運にみまわれ、
さいごは王さまと同じ病気で死んでしまいました。
こうして人々に平和が戻りましたとさ。めでたしめでたし。
―その4つの宝具とは、その名も『ロイヤルカード』。
♠︎権力を得る代わりに愛を失う…スペードのリング。
♥愛を得る代わりに幸福を失う…ハートのネックレス。
♣︎幸福を得る代わりに富を失う…クラブのブローチ。
♦︎富を得る代わりに権力を失う…ダイヤのピアス。
『ロイヤルカード』を身に着けた者は、
王の『祝い』と『呪い』を受けると言われている
一つだけ装着しても、やがて不運は訪れる。
完全になるためには、
4つすべてを手に入れなければならない。
……本当にそうだろうか?